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ものがたり

中通り

松川颯汰さん

  • 未来デザイナー

「福をつなぐ人」

飯坂電車は、福島駅と飯坂温泉駅を繋ぐ、全長9キロのローカル線。

「いい電」の愛称で地域の足として多くの人に親しまれている。

 

開業100周年を迎えた「いい電」。

人員を削減するローカル線が多いなか、常に車掌を配置している。

車内での切符販売、無人駅での切符の受け取りなど、

お客さんとのふれあいを大切にしているのだ。

そんないい電らしさを、未来につなごうとしている人がいる。

この春、入社したばかりの松川颯汰(まつかわ・そうた)さん18歳。

子どもの頃から電車が大好きで、父親に連れられ「いい電」を見に出かけていた。

 

 

そんな松川さん。今でも休みの日には「いい電」の写真を撮りにいく。

 

 

(撮影:松川颯汰)

 

暮らしのすぐそばを列車が走り抜ける「いい電」ならではの風景がお気に入りだという。

 

入社後、はじめの一ヶ月は先輩から「車掌のイロハ」をみっちり学ぶ。

まず学ぶのは、乗り降りの際の乗客の安全確認。

車両の中と外を何度も目視する。

そしてもう1つ、車掌にとって大切な仕事が。

乗客よりも先に出口に向かい、直接手で切符を受け取る。

いい電が守り続けてきた伝統だ。

 

 

松川さんは休憩時間にあるものを見せてくれた。

駅ごとの降りる位置が書かれたメモ。

こうした地道な努力のおかげで、

「いい電」を使う一人一人に、感謝を伝えることができる。

 

「積み重ねで、お客様とのコミュニケーションを取ったりして、顔見知りになったり、

お客様とも近い距離で接していけたらなと思っています。」

 

100年前から乗客を支え続けた車掌たち。

その歴史を未来につなぐ松川さんの日々は、はじまったばかりだ。

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