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ものがたり

浜通り

横山 和佳奈さん

  • 福島LOVERS

失われたふるさとの記憶を求めて

失われたふるさとの記憶を集める

浪江町 請戸地区―。震災前、1,800人が暮らしていた小さな港町だ。

あの日、津波で町は壊滅。140名の尊い命が犠牲になった。

その後、請戸は「災害危険区域」に指定。集落の再建は二度と叶わない。

そんなふるさとのことを伝える“語り部”をしている横山 和佳奈(よこやま・わかな)さん。

震災当時、請戸小学校の6年生だった。

 

 

 

小学生の時に筆箱に付けていたキーホルダー、

震災前と変わらないふるさとの風景の写真、請戸にまつわる新聞の切り抜き・・・

震災後、和佳奈さんはふるさとの記憶に繋がるモノをかき集めてきた。

 

 

 

 

あの日からまもなく10年。

変わりゆくふるさとの景色を前に、和佳奈さんは請戸での記憶を忘れまいと町へ通い続けてきた。

「忘れることによって自分の12年を白紙にしたくないから忘れたくない」

 

「形にあるものが残せないなら、形ないものでかき集めるしかない」

今年、和佳奈さんはあることを思いたつ。

「みんなの請戸の記憶を残したい」と、同級生にSNSで呼びかけた。

 

 

 

 

和佳奈さんは呼びかけに応じた同級生たちをオンラインで結んだ。

請戸の写真を見ながら、思い出を語り合う。

みんなで食べた給食の時間、駄菓子屋の自動販売機、請戸の海岸線でのゴミ拾い・・・

 

 

 

記憶がまた次の記憶を呼び起こす。

鮮やかによみがえっていくあの頃。

和佳奈さんは、それぞれが大切に心にしまってきた記憶を語り合う場が必要だと感じていた。

 

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